紀南交響楽団 秋の名曲コンサート——北島佳奈 チャイコフスキーVnコンチェルト

日記

久しぶりに素晴らしいコンサートに行ってきた。

実は、物見遊山の気分で行ったのだ。

紀南交響楽団は、和歌山県の南、御坊市に拠点を置くアマチュアオーケストラ。
ある日図書館でチラシを見て、無料でもあり、
海南市に住む友人やクラシック好きの友人に声をかけていってみた。

下津駅から一時間かけて到着した「御坊市民文化会館」は、思ったより遠かった。
友人の運転に感謝である。
メンバーは、僕、クラオタ友人のM氏、山友のTさんとTさん夫の総勢4人。
道すがら、どうもVcを弾く人は、同じ山の会のみかん税理士の方ではないかという話があった。

御坊市民文化会館は、なかなか気合の入った建物。
人口2万5千人の町。
日曜ということで老若男女、ボチボチ席はうまっている。
一曲目はコリオラン。
弦は、なんと3プルト、ファーストVn6人だ。
それでもベートーヴェンの音がするからすごい。
Vcの人はやはり山の会の人らしい。

二曲目はチャイコフスキーのVnコンチェルト。
ソロは和歌山を中心に活躍している北島佳奈さん。

僕は前知識なしででかけたのだが、これが超絶名演だった。
第一楽章はまだ音楽に入りきれなかった。
というのも、カメラ小僧のような人が何人もいて、写真をとるのだ。
まぁ、それは我慢するとしても、いちいちカメラの動作音がするのだ。「カシャー」「ウィーン」である。
僕はよほど注意しようと思ったが、どうも許可されているのか、複数人いる、お手上げだ。
ところが北島さんのVnは、プロ根性をみせ、「私を聴いて!」という感じで聴衆を徐々に演奏に引きつける。
第一楽章後半は、もう演奏の虜になっていた。
なんという雄弁な音楽だろう。
腕はなりになり、カデンツァでは、圧巻のソロの妙技が耳に飛び込む。
テクニックは冴えに冴えている。
またなぜか分からないが、”引き慣れている”感もあるのだ。

なつかしい第二楽章をへて、第三楽章に入るとものすごいボルテージだ。
”芸術は爆発だ”という感じで、誰も北島さんの進軍を止めることはできない!
手に汗にぎるとはこのことだ。
楽器はフルになりきり、弦楽器のボディ(芯)の音がきこえる。
これは滅多にない名演。
そしてどんな細かいパッセージでも耳に飛び込んでくる。
いわゆるチャイコフスキーらしい脂ぎった音ではなく、贅肉のないバルトークのようなザッハリッヒな音だが、音楽性もある。
素晴らしいヴァイオリンだ。
なにより自分の音を持っている。
アタックで切れ込むときの、グングン攻めていくような音。
天馬空をいくようなヴァイオリン。

僕は圧巻された。
自分が実演できいた中でベスト3に入る名演だと感じた。
聞き慣れたこの曲が、こんなに新鮮に耳に飛び込むのは嬉しいし、なにより聴いている間、眼の前の北島さんの演奏が過去のどんな名演も忘れさせてくれるのに、おどろいた。
独特の”北島節”というものがあり、そのパッセージの音を聴くときは、なんだか嬉しくなり応援したくなる。

休憩の間目にしたプログラムで兵庫県立芸術文化センターの創設メンバーというのが大きな経歴としてあった。
が、僕はとてもそんなものではなく、ソロヴァイオリニストとして広く活躍して欲しいと感じた。

アンコールも何か弾いてくれたらしいが、チャイコフスキーに圧巻され、覚えていない。

後半はジュピター。
これは難しい。アマチュアとしては、名演だし、楽しいには楽しい。
が、ファーストVnがもっと、、、と思ったのは事実だ。

アンコールは、再び北島さんが登場。
モンティのチャルダッシュ。
チャイコフスキーほどではないが、やはり名演だ。
細身の音からぐわーんとジャンプするところはジャンプする。
その思い切りのよさ!
そして随所に”北島節”という独特の節回しがはっきりときける。

ともかく、チャイコフスキーが圧巻の演奏だった。
高校野球を見に行ったら、メジャーリーガーがいて、ぶっ飛んだという感じ。
ダイヤモンドの原石を見つけた、と言えば大げさだろうか、本当にすごいと感じた。
もちろん、まだ情報不足で断言はできないが、、、。

大満足で、「御坊市民文化会館」を後にした。

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